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勤務先の業績悪化による収入減少や円高での生活費の高騰で借金の返済が困難になった場合

これまでは、まじめに働いて借金をなんとか返すことができたけど、勤務先が業績不振で収入が減ったり、パートの日数が減ったり、ボーナスが減ったりといった理由でこれまでどおり返済することができなくなりお困りの方もいらっしゃると思います。このような場合には、借金の額自体を減らすことを考えてみられてはいかがでしょうか。
自己破産の方法も合わせて紹介します。

借金の額を減らす様々な方法とは?

借金の額を減らす、といってもいろいろな方法があります。例えば風邪といっても、熱がある、お腹が痛い、喉が痛い、咳が出る等症状は人によっていろいろ違いますが、借金の問題も、借金の金額、利率、取引の年数、相談者の方の収入、資産の内容等によって、任意整理、個人民事再生、自己破産等、問題解決の仕方は異なってきます。

いずれの手続きをとる場合でも、弁護士に依頼されて弁護士から債権者に通知を出すと取り立ては止まり、以後電話や訪問等の取り立ては一切なくなります。

任意整理について

債権者に対し主に今後生じる利息の支払いの免除を求めるとともに、支払い期間を延ばすことにより元本の月々の支払い額について支払可能な範囲までの減額が可能か交渉することになります。

かつては、利息制限法の上限金利以上の金利での貸付に対し、利息制限法の法定金利に引き直すことにより払い過ぎた利息の返還を求めたり(過払金返還請求)、過払いにまでは至っていなくても、元本が大幅に減少するということも少なくありませんでした。しかしながら、平成22年6月の改正貸金業法施行により利息制限法を超える金利での貸し付けが認められなくなり、現在では借り入れは全て法定金利内という方が多いと思われるため、任意整理によって、過払い金が戻ってきたり、元本自体が減少するということは必ずしも多くなく、任意整理としては、今後生じる利息のカットを求めるということが多数を占めるようになりました。(もちろん、調査の結果過払い金がある場合には当然返還請求します。)

したがって、負債の元本だけであれば返済していくことが可能だ、ということであれば、債務整理も有効な債務圧縮手段となります。裁判所を利用した手続きではないため、ご家族の収入を証明する給与明細等の提出が必ずしも必要ないため、ご家族に借金のことを知られたくない、という方にはお勧めです。

しかし、元本の返済だけでもとても返していけない、ということであれば債務整理以外の方法を選択した方がよいかと思います。

個人民事再生(個人再生)について

個人民事再生(個人再生)とは?

個人再生手続きは、再生計画で予定される内容まで債務が圧縮されれば弁済が可能になるのであれば非常に有効な手段です。また、自宅を手放さずに済むというメリットもあります。債務が大きく減りさえすればなんとか支払うことができる、という方はぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。

個人再生を利用するためには、
① 将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること
② 再生債権の総額が5000万円を超えないこと
が必要となります。

個人再生の種類とは?

個人再生には、
①小規模個人再生
②給与所得者等再生
という二つの種類があります。

給与所得者再生は、給与等の定期的で変動の少ない収入がある債務者を予定し、債権者から異議が出されても、再生が認められるというメリットがあります。他方で、可処分所得の2年分を最低でも支払わないといけないので小規模個人再生よりも返済額が多額になる可能性があります。

実際に、債権者から異議が出ることは必ずしも多くないので、給与所得者の方でも小規模個人再生を利用しています。
※私はこれまで20年近く個人民事再生手続きを利用していますが、少なくとも私の経験した範囲では小規模個人再生が利用できず給与所得者再生を利用しなければならなかったことは1度もありません。

個人再生のメリットとは?

債務の大幅な減額

単に将来の利息を払わなくてよくなるだけでなく、借金が大幅に減ります。

自宅の確保

自己破産の場合には、住宅ローンを支払っている自宅について、住宅ローン債権者にだけ支払いを継続するということは認められないため、住宅ローン債権者が抵当権を実行することにより自宅を失うことになりますが、個人再生の場合には住宅資金特別条項という規定を利用して、一定の場合には住宅ローンだけをこれまで通り支払うことが認められており自宅を手放さずにすむことができます。

個人再生のデメリットとは?

信用情報に登録され金融機関からの借り入れは再生計画に基づいた弁済の終了から5~7年間はできなくなります。
自己破産と異なり最低100万円は返さないといけません。

個人再生を利用した場合の支払額・支払い期間は?

再生計画に従って支払うべき金額は、再生債権が、
500万円までの場合→100万円
500万円を超え1500万円までの場合→再生債権の5分の1
1500万円を超え3000万円までの場合→300万円
3000万円を超え5000万円までの場合→再生債権の10分の1
となります。
※ただし、上記金額以上の資産を持っている場合にはその資産の価値相当額(清算価値)が支払額の上限となります。
※弁済期間は原則3年ですが、3年での弁済が困難な場合には5年まで伸ばすことができます。

個人事業主の民事再生手続きの流れ

①個人再生申立
②裁判所による再生手続開始決定
③債権者による債権届の提出
④申立人による届け出債権に対する異議申述
⑤申立人による再生計画案の提出
⑥申立人による中間報告書・最終報告書の提出
⑦裁判所による認可決定
⑧再生計画に従った弁済開始

 

個人再生Q&A

Q 個人再生を利用したら今乗っている自動車を手放さないといけませんか?

A 個人再生を利用した場合に自動車を手放さないといけないかどうかは、ローンが残っているかどうかによって異なります。

  まず、ローンを完済している場合には個人再生を利用しても自動車を手放す必要はありません。ただし、自動車の価値を含む持っている資産の総額(自動車の価値に預貯金の残高や生命保険の解約返戻金などを合計した額)が、民事再生法の規定により減額される金額(再生債権が500万円までの場合100万円、500万円を超え1500万円の場合は再生債権の5分の1など)を超える場合には、資産の総額を3年~5年の期間で弁済することになります。

たとえば、借金の額が600万円で資産としては生命保険の解約返戻金が50万円ある方の場合、自動車を持っていなければ、600万円の5分の1の120万円を3年~5年の期間で弁済することになります。生命保険の解約返戻金50万円のほかに時価50万円の自動車を持っている場合は、持っている資産は合計100万円でもともと払わなければいけいない120万円を下回っていますので、自動車を持っていないときと同様に120万円を3年~5年の期間で弁済すればよいことになります。これに対し、生命保険の解約返戻金50万円のほかに時価100万円の自動車を持っている場合は、持っている資産は合計150万円でもともと払わなければいけいない120万円を上回りますので150万円を3年~5年の期間で弁済することになります。このように個人再生を利用した場合自動車の価値によって支払わないといけない金額が増えることがありますが、自己破産の場合、持っている自動車に価値がある場合には、破産管財人が換価して(売って)債権者に配当することになり自動車を手放さなければいけないことと比べるとやはり個人再生の場合には自動車に乗り続けることができるというメリットがあります。

  次に自動車代金のローンが残っている場合には、ローン会社は完済までの間自動車の所有権を留保(ローン会社に残しておくということ)していることがほとんどですから、留保しておいた所有権に基づいて引き上げることになるので多くの場合自動車を手放さないといけなくなります。ただし、自動車を仕事で使用する必要性が高く、自動車を手放すと収入が得られず(減り)再生計画に従った弁済ができない場合には、裁判所の許可を得て別除権協定を締結できれば自動車を手放すことを避けることができます。

 

Q 一所懸命働いて念願のマンションを買うことができました。けれども、親が手術をすることになって出費がかさんだので銀行のカードローンや消費者金融で借金し、会社も不景気でボーナスがカットされたため、カードローンや消費者金融からの借金を返すとマンションのローンを払うことができないのでまた借金を繰り返すことになり借金がどんどん膨らみました。カードローンや消費者金融の借金の金額が減ればマンションのローンを払い続けることができるのですが、自己破産するとマンションは手放さなければいけないと聞きました。何かいい方法はありませんか?

A おっしゃる通り自己破産だとマンションのローンだけを払い続けるということは認められていないため、マンションのローンの債権者が抵当権を実行するためマンションを手放さないといけません。個人再生を利用してみてはいかがでしょうか。

  個人再生手続きでは住宅資金特別条項という規定により、マンションのローンを払い続けることができます。そのため、個人再生を利用することでマンションのローン以外の借金が減った場合に(例えば住宅ローン以外の借金が500万円までの場合は100万円に、500万円を超え1500万円の場合は5分の1に減額)マンションのローンの支払いを続けていくことが可能であれば個人再生を利用することでマンションを残すことができます。

 

Q 警備員の仕事をしています。破産すると仕事をやめないといけないと言われました。仕事を辞めずに借金を整理する方法はありませんか?

A 自己破産の場合には、警備員や保険外交員、弁護士、税理士、司法書士、行政書士などの一定の職業については破産決定を受けてから免責決定を得て復権するまでの間それらの職業に就けない、という制約があります。

  これに対し、個人再生であればそのような制約はありません。したがって、自己破産のように免責決定によって借金を一切返さなくてよくなるわけではありませんが、借金が減額されれば返していくことが可能な場合には個人再生の利用を検討されてはいかがでしょうか。

 

Q 2年前に個人再生を利用して借金を返しています。弁済期間は4年間で今返し始めて2年になります。不景気で会社の業績が大幅に悪化し給料が激減し、とても再生計画通りには弁済できません。どうすればよいでしょうか?

A 個人再生では認可された再生計画の履行がやむをえない事情で著しく困難となった場合には、再生計画変更の申立てにより再生計画で決められた弁済期限を最長で2年間延長することができます。延長が認められるためには「やむを得ない事由」があることが必要とされており、「やむを得ない事由」があるかどうかは、再生計画の変更を裁判所に申し立てた上で裁判所が判断することになりますが、勤務先の業績悪化により給料が激減したのであれば「やむを得ない事由」があるとされる可能性は十分にあるのではないかと考えます。

 

Q 4年前に個人再生を利用して借金を返しています。弁済期間は5年間で今返し始めて4年になります。けれども最近大きな病気が見つかり長期間入院しないといけなくなり、収入が途絶えてしまいます。身内の援助でなんとか生活していますが、とても借金の支払いまでは頼めません。せっかく個人再生を利用してあと少しで完済できるところまできたのに悔しいです。どうすればよいでしょうか?

A 個人再生にはハードシップ免責という制度があります。これは、個人再生手続きで認可された再生計画にもとづく弁済額の4分の3以上の金額の弁済を行っていた場合には、一定の要件を充たせば、残りの債務については弁済しなくてよくなるという制度です。弁済期間が5年で既に4年間支払っているのであればハードシップ免責が認められる可能性があります。ハードシップ免責が認められるには、弁済額の4分の3以上の金額の弁済のほかに、再生債務者の責任ではない事情で再生計画に従って支払いを続けることが「極めて困難」になったということが必要とされています。「極めて困難」になったかどうかは、ハードシップ免責を裁判所に申し立てて裁判所が判断することになりますが、「極めて困難」とは再生計画の変更で必要な「著しく困難」よりもさらに厳しく弁済期限を延長しても支払うことができないことが必要となります。ただし、今後長期間入院する必要があり収入のめどが立たないのであれば認められる可能性はあるのではないかと考えます。

 

自己破産する場合について

自己破産は、裁判所の手続きを利用して借金を整理する手続きで、免責決定が出ると借金を返さなくてよくなります。最も効果の大きい制度です。

自己破産のメリットとは?

借金がゼロになります。

自己破産のデメリットとは?

信用情報に登録され金融機関からの借り入れは免責決定から5~7年はできなくなります。
自宅(持ち家)は手放さないといけません(ただし、破産される本人自身の持ち家の場合です)。
破産開始決定から免責までの間は、特定の職業(保険外交員、警備員など)につけません。
価値が残っている自動車その他高価な物を持っている場合にはは手放さないといけなくなります。
管財事件になる場合には、20万円以上のお金を裁判所に納めないといけません。

手続きの流れ

配当すべき財産がない場合

①自己破産申立
②破産開始決定・破産管財人の選任(選任されない場合もあります。)
③管財人による調査(債権の有無、金額、破産者の財産、免責不許可事由等)
④破産廃止
⑤(個人について)免責決定

配当すべき財産がある場合

①自己破産申立
②破産開始決定・破産管財人の選任
③管財人による調査(債権の有無、金額、破産者の財産、免責不許可事由等)
④配当手続き
⑤破産廃止
⑥(個人について)免責決定

自己破産Q&A

Q ギャンブルで借金を作ってしまったのですが、自己破産はできないと聞きましたが本当ですか?

A  ギャンブルで借金が膨らんだような場合は、免責不許可事由である「浪費又は賭博その他射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」(破産法252条1項4号)に当たり、裁判所は免責をしないことができます。ただし、これは免責しないことができるのであり、免責してはいけないということではありません。裁判所は、いろいろな事情を考慮して免責することができ(破産法252条2項)、これを裁量免責といいます。例えば、ギャンブルで借金が膨らんでも、その後反省してギャンブルを止めて真面目に働いているような場合には裁量免責が認められる場合が多いと感じます。

Q  自己破産することを考えていますが、自己破産すると今乗っている自動車も手放さないといけないのでしょうか。10年前に中古で購入しローンも完済した軽自動車なのですが、バスの本数がとても少なくて通勤にどうしても自動車が必要なのです。

A 自己破産の手続きでは、財産的な価値があるものは破産財団として換価して債権者に配当されることになります。しかし、財産的価値がないと判断されるものは破産財団とされず換価されて配当されることはありません。十年前に中古で購入した軽自動車であれば破産財団には含まれないので乗り続けることができます。

 

弁護士費用について

詳しくはこちらを御覧ください。

※なお、どうしても弁護士費用が厳しいといわれる方は、減額や分割させて頂くこともあります。

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この記事を書いた人

この記事を書いた人

弁護士 島 晃一
(島総合法律事務所)

1998年に弁護士登録以来、まじめに頑張っている事業者の方や個人の方の負債の問題解決に尽力しています。1966年生まれ。

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