福岡の顧問弁護士/企業法務INFO

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福岡の弁護士/島総合法律事務所

取り扱い業務

労働問題

会社のトラブルは社外の取引先との間で生じるものだけではありません。従業員との間に労働問題のトラブルが生じることも少なくありません。

未払い残業代問題

会社存続が危ぶまれる可能性も

労働基準法により法定労働時間は1日8時間、週40時間以下と決められていて、これを超える時間を労働させる場合は、時間外労働となるのが原則であり、時間外労働になれば時間外手当を支払う必要があります。
そして、賃金請求権の消滅時効は、以前は2年でしたが、労働基準法改正により、2020年4月1日以降に支払期日(給与日)が到来する賃金については、それまでの2年から5年となりました。(なお、経過措置として、当分の間は3年間とされています)
3年分の未払い残業代はそれなりの金額となり、さらに複数の従業員や元従業員から請求された場合には会社の存続が危うくなることも考えられます。

日頃の労働管理が大切

そこで、未払い残業代の問題が生じないよう日頃から労働時間の管理をする必要があります。仕事を終えても長々と雑談してなかなかタイムカードを押さないような従業員に対しては、仕事を終えたらすぐにタイムカードを押すよう指導することで不当な残業代の請求を未然に防ぐことができます。また、残業を原則として許可制とし、残業する場合には残業申請書の提出を求めるようにする、といった運用も有効です。

未払い残業代の請求をされた場合の対処

また、未払い残業代の請求をされてしまった場合については、残業を命じられていない時間が含まれていないか、請求されている残業時間が正しいのか等について、客観的な資料を精査してきちんと検討する必要があります。

当事務所で以前担当した未払い残業代の請求案件では、タイムカードの打刻時間以前から出勤していたとして未払い残業代を請求された事案で、日々の作業日報を精査することにより残業時間が相手の主張する時間よりも大幅に短くなり、請求額の2分の1以下の金額で解決したことがありました。このように未払い残業代を請求された場合には、弁護士のチェックが不可欠です。

解雇をめぐる問題

解雇するのは簡単ではない

問題のある従業員に対して解雇したいと考えている経営者の方もいらっしゃるかと思います。しかし、解雇が認められるためには、
①客観的に合理的な理由
②社会通念上相当であること
が必要とされ、①②の要件を満たさない場合には、解雇は無効とされます(労働基準法16条)。
解雇が無効とされると労働契約はずっと有効だったということになりますので、解雇通告後出勤していない期間の給料を全額支払わなくてはいけません。解雇無効が裁判で争われる場合には、判決までにかなりの期間が経過していますから、支払うべき給料も高額になります。ですから、従業員を解雇する場合には、解雇の要件を満たすか、事前に慎重に検討する必要があります。

解雇の種類

解雇には、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇があります。

普通解雇は、従業員の成績不良、病気等で就労不能な場合など従業員に原因があることを理由とした解雇です。
整理解雇は、会社の経営状態が悪化したために人員削減するための解雇です。
懲戒解雇は、就業規則に定められた懲戒解雇事由に該当する場合に認められる制裁としての解雇です。

普通解雇、整理解雇の場合には、解雇予告手当の支払いが必要です。
これに対し、懲戒解雇は、解雇予告手当は不要ですが、
①客観的に合理的な理由
②社会通念上相当であること
という解雇の要件を満たすかどうかについてはより厳しく判断されます。

当事務所では、後で解雇無効の労働審判や裁判を起こされることがないよう、解雇が認められるかどうかについて、事前に裁判例等を精査した上で的確な助言を行います。

ハラスメント問題(セクハラ・パワハラ等)

セクシャルハラスメント(セクハラ)とは?

セクシャルハラスメント(セクハラ)には、労働者に対して、
①職場において性的な言動が行われ、これに対するその労働者の対応により労働条件について不利益を受けるもの(例、減給、降格/対価型セクハラ)
②性的な言動によって労働者の就業環境が害されるもの(環境型セクハラ)
という2つの類型があります。

このようなセクハラに対し事業主は、労働者からの相談に応じ適切に対応するために必要な態勢の整備その他雇用管理上の必要な措置を講じなければならない、とされています(男女雇用機会均等法16条)。

セクハラを防ぐには?

性的言動の例としては、身体を触る、性的行為を要求する、スリーサイズを聞く、デートにしつこく誘う、といったことが挙げられます。
このようなセクハラを事業主が行わないことは当然ですが、従業員間、上司・部下の間でも行われることがないように、日頃から研修等を行い啓発に努めるとともに、相談窓口を設け、相談があれば適切に対応できるようにしておく必要があります。

セクハラが疑われる場合には、関係者からヒアリングを行い事実関係を正確に把握した上で、被害に遭った労働者の就労環境が改善するよう配置転換等の措置を講じる必要があります。セクハラを行った者に対するペナルティとしての懲戒処分について就業規則に明記しておくことが望まれます。
また、実際にセクハラが行われたときには、再発防止のためにも、セクハラの程度に応じて就業規則に従い懲戒処分を行うことになります。
セクハラの場合には、懲戒処分が軽く再発防止として不十分だと被害を受けた労働者の不満から会社が損害賠償請求されるリスクが高まる反面、懲戒処分が重すぎるとして加害労働者から処分が無効だとして訴えられるリスクもあり、適切な懲戒処分がどのようなものか、については非常に慎重な判断が求められ、まさに弁護士のアドバイスが必要な場面です。

パワーハラスメント(パワハラ)とは?

パワーハラスメント(パワハラ)とは、職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動で、
②職務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されること
をいいます。

パワハラを防ぐには?

職務上必要かつ相当な範囲を超えたことが必要ですから、職務上必要な指導で相当なものはパワハラには当たりませんが、職務上必要か、相当な範囲を超えているかどうか、の判断はなかなか難しいのが実情です。
いくら職務上の指導であっても、殴る、蹴るといった暴力を振るえばパワハラとなりますし、「バカ」、「死ね」、「給料泥棒」といった人格を否定するような言葉を浴びせることは相当な範囲を超えているとされる可能性が高まります。過去の裁判例の中には、パワハラを受けた従業員がうつ病を発症して自殺した、という事案も複数ありますが、パワハラを原因した自殺といった事態が生じれば遺族から多額の賠償を求められ、また企業としての信用も失墜し会社の存続も危うくなります。

セクハラと同様、日頃から研修等を行い啓発に努めるとともに、相談窓口を設け、相談があれば適切に対応できるようにしておく必要があります。また、パワハラが疑われる場合には、速やかに関係者からヒアリングを行い、事実関係を確認した上で、被害に遭った労働者のケアに務めるとともにパワハラを行った者に対してその程度に応じて就業規則に従い懲戒処分を行うことも検討する必要があること、被害労働者、加害労働者双方から訴えられるリスクがあるため懲戒処分の内容については慎重な判断が求められ弁護士のアドバイスが必要な場面であることもセクハラと同様です。

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