A-4 自賠責保険での後遺障害非該当から、裁判の結果14級を前提とした和解が成立した事例
受任前 賠償額未提示(症状固定前に受任)
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受任後 被害者請求で非該当だったが、訴訟で14級を前提とした和解が成立し200万円を取得した事案
依頼者 10代男性(アルバイト)
事故状況
依頼者が自転車を運転して信号機のない交差点を左折しようとしたところ、右折してきた自動車に衝突されたという事故
負傷部位/傷病名/入通院経過
腰/腰椎捻挫/入院7日、通院10ヶ月
事案の詳細
この依頼者の方はてんかんの既往症(事故前からもともとあった障害)があったところ腰痛については既往症の等級を上回っていないという自賠責保険のルールのため被害者請求では後遺障害について非該当となりました。自賠責保険のルールでは非該当になることは予想されていましたが、非該当になった理由が自賠責保険特有のルールが原因であることをはっきりさせるために敢えて被害者請求をしました。てんかんがもともとあったことは依頼者の方の腰痛を酷くする原因になっていないことは明らかであり、てんかんがあるから腰痛が酷くても後遺障害に当たらない、というのは明らかにおかしいので腰痛が14級の後遺障害にあたることを前提に算定した損害額の支払いを求めて訴訟することになりました。
裁判の中では、当然相手方は自賠責で後遺障害が非該当であるということを根拠に14級の後遺障害について争ってきました。そこで、病院のカルテの記載を詳細に引用して依頼者の方の腰痛が14級のレベルであること、自賠責保険で非該当になったのは自賠責保険の後遺障害認定特有のルールによるものであり、裁判所はそのルールには拘束されない、ということを丁寧に主張したところ、裁判所はこちらの主張通り、依頼者の方の腰痛が14級9号にあたることを前提として200万円を支払うという内容の和解案を示してくれました。相手方も和解案を受け入れたため和解が成立しました。
自賠責の認定がおかしいときには決して諦めることなく依頼者のためにあるべき賠償を求めるのが交通事故の案件を取り扱う弁護士の使命です。この事案は、福岡県弁護士会の司法修習生(司法試験に合格し今後弁護士、検事、裁判官になるため研修中の人たち)の研修の題材となりました。
自賠責保険 受任時 なし
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受任後 被害者請求 非該当
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裁判所の判断 14級9号
受任前の提示額 未提示
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受任後の合計取得金額(裁判での和解) 200万円