A-7 自賠責保険での後遺障害非該当から、裁判の結果14級を前提とした和解が成立した事例 その2
受任前 賠償額未提示(症状固定前に受任)
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受任後 被害者請求で非該当だったが、訴訟で14級を前提とした和解が成立し300万円を取得した事案
依頼者 50代男性(会社役員)
事故状況
依頼者が自動車を運転して赤信号で停止していたところ、後続のトラックに追突されたという事故
負傷部位/傷病名/入通院経過
首、肩/頚椎捻挫、左肩挫傷/通院12ヶ月
事案の詳細
今回の事故は停止中にトラックに追突されて前方に1m程押し出されるほどの事故でご本人は頚部の酷い痛みに悩まされていました。通院中に身内の方の紹介で相談に来られそのままご依頼を受けました。
症状固定後、ご本人から症状を詳しく聴き取った陳述書を添付して被害者請求しましたが後遺障害は非該当となりました。非該当になった理由は10年以上前の事故で既に頚部痛で14級9号の認定を受けているという理由でした。自賠責保険では以前頚部痛で14級9号の認定を受けるとそれが何年前であっても14級の認定は受けられないという自賠責保険特有のルールがあるため自賠責保険ではどれだけ痛みが強くても痛みを裏付ける画像所見がない限りは後遺障害は認定されないのです。けれども強い首の痛みがあることは間違いないので首の痛みが14級の後遺障害にあたることを前提に算定した損害額の支払いを求めて訴訟することになりました。
裁判の中では、当然相手方はご本人の首の痛みについてカルテの一部を引用して常に痛いという要件を満たさないので14級の後遺障害に当たらないとして争ってきました。しかしながら、カルテにはご本人が首の痛みに悩まされている記載が多数ありこれらを丁寧に引用して首の痛みが14級のレベルであること、自賠責で非該当となったのは自賠責特有のルールによるもので裁判所はそのルールに拘束されないことを主張しました。
また、相手方はご本人が代表者を務める会社とご本人自身に減収がないことから、役員報酬は労働の対価ではなく逸失利益がないと主張してきました。これに対しては、ご本人の業務内容を詳細に主張するとともに減収がないのはご本人が痛みに耐えて懸命に努力して会社の収入を維持しているからであることを主張しました。
裁判所は概ねこちらの主張通り、依頼者の方の首の痛みが14級9号にあたることを前提として300万円を支払うという内容の和解案を示してくれました。相手方も和解案を受け入れたため和解が成立しました。
自賠責保険 受任時 なし
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受任後 被害者請求 非該当
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裁判所の判断 14級9号
受任前の提示額 未提示
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受任後の合計取得金額(裁判での和解) 300万円