無料ご相談予約
KNOWLEDGE

交通事故の基礎知識

死亡事故について

死亡事故のご遺族の方へ

大切なご家族を亡くされた悲しみは本来金銭では解決できません。

大切なご家族を突然の交通事故で亡くされたご家族の悲しみは言葉で言い表わすことは到底できません。お金をもらうことで悲しみが癒えることもありません。ご遺族のお気持ちは、ご家族を元気な姿で戻してもらいたい、ということに尽きます。

このように本当はお金ではなく亡くなった方を元気な姿に戻して欲しい、というお気持ちがご遺族の偽らざるお気持ちなのですが、このお気持ちをかなえることはどうしてもできません。お金で解決できないことを、やむを得ずお金で解決しないといけないのが現実です。

せめて適正な賠償を

このようにやむを得ずお金で解決せざるをえないのですが、保険会社から提示される賠償額が適正かというと裁判で一般に認められる金額よりも低い金額であることが多いのが現状です。また、事案によっては裁判で一般的に認められる金額でも賠償額として不十分な場合もあります。このような場合には、弁護士が代理人として交渉することで裁判基準での示談が可能になることが多いですし、それでも不十分な場合には安易に妥協せず裁判で一般的な賠償を超える賠償を求めることも可能です。

死亡事故の賠償項目

葬儀関係費

葬儀関係費については、裁判でも実際に150万円以上の葬儀費を支出していても150万円を上限とされることが一般的です。ただし、被害者の方の社会的な立場から多くの弔問客が予想され大規模な葬儀にならざるを得なかった場合や旅先で交通事故に遭って亡くなったため旅先と地元で2度葬儀を行わないといけなかったような場合に150万円を超える葬儀費用を認定した裁判例もあります。

また、事故で遺体の損傷が激しくそのままでは通夜や葬儀に臨めないような場合に、顔面の修復といったエンバーミングを行う費用については、150万円の葬儀費用と別個に認めた裁判例が複数あります(さいたま地裁平成24年10月26日、京都地裁平成28年11月29日、東京地裁平成29年12月6日等)。

私が担当した案件でも、150万円の葬儀費用と別に顔面の修復費用を認める内容で裁判上の和解が成立しました(D-14の解決事例)。

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、被害者の方が亡くなられたことにより、将来得られるはずの収入が得られなくなったという損害です。亡くなられたことにより得られなくなった将来の収入から、亡くならなければ生活していく上で支出していたであろう金額を差し引いて算定します。亡くならなければ支出していたであろう金額を差し引くことを「生活費控除」といいますが、生活費控除は個々の将来の支出を具体的に予測して差し引くことは実際には困難なので、一定割合を差し引くという方法で行われています。

死亡逸失利益=

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対するライプニッツ係数

死亡慰謝料

死亡慰謝料については、亡くなられた被害者の方ご自身の精神的苦痛に対する慰謝料と近親者の方の固有の慰謝料を請求することができます。

被害者の方ご自身の慰謝料と近親者の方の固有の慰謝料の合計額については、これまでの多くの裁判例をもとにして実務では以下のような基準が参考にされます。

一家の支柱        2800万円

一家の支柱の配偶者    2500万円

その他(独身の男女、子) 2000万円~2500万円

ただし、このような基準もあくまで目安であり、加害者の運転態様が悪質な場合、事故後の対応が著しく不誠実な場合などで増額されることもあります。スマートフォンのゲームアプリにわき見しながら死亡事故を起こし一家の支柱を死亡させた事案について総額3100万円の慰謝料を認めた裁判例などがあります。私が担当した案件でも、運転中に書類に脇見をして著しい前方不注意があった事案で、スマートフォンへの脇見と同様に総額3100万円の慰謝料を認める内容で裁判上の和解が成立しました(D-14の解決事例)。

また、高齢の被害者は、通常は上記の一番下の2000万円~2500万円の範囲の死亡慰謝料になることが多いのですが、その方の生前の役割から一家の支柱という最も高いカテゴリーでの慰謝料が支払われたことが実際に私が担当させていただいた案件でありました(D-9の解決事例)。

このように、上記の慰謝料の算定についての3通りの基準はあくまで目安に過ぎません。弁護士に依頼することで上記の裁判基準で示談できるというようなことが記載されているホームページをよく見かけますが、上記の3通りの基準で果たしてよいのか、ということをきちんと検討することが大切だと考えます。

解決事例

D-2   D-6     D-7 D-9   D-14